Twitterでも要望があったのでぱっぱと書いちゃいます。

AVR参入以前より、もっと言えばISD参入当時よりSCGオープンやグランプリでも猛威を振るっている「UW Delver」(青白デルバー)。
その名の通り《秘密を掘り下げる者/Delver of Seclets》を主軸としたクロックパーミッションなのですが、最近のトーナメントシーンはこのデッキに支配されていると言っても過言ではありません。差し当たり、スイスラウンド5~6回戦の大会に出れば、(地域のメタにもよりますが)少なくとも1~2回は間違いなく当たる、と思っていただいて差し支え無いでしょう。

本記事では、誰でも作れる!簡単☆青白デルバー講座☆と称して、大会で結果を残している基本的な青白デルバーに共通するデッキパーツを抜き出し、基本形とそのカスタマイズ方法について解説したいと思います。
「デルバーなんか絶対使わねぇ!」という脳筋orコントロール脳なあなたも、敵を知れば百戦危うからず、構造を理解することによって弱点や相手の手の内を知れるきっかけになるはずです。
この記事が皆さん(特に初心者の方)の参考になれば幸いです。なお、AVR参入後のリストを元に編集しています。

【基本パーツ:土地編】
土地 20~22枚
8~9 《島/Island》
1~2 《平地/Plains》
4 《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4 《金属海の沿岸/Seachrome Coast》
3 《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》

土地はほぼ固定です。基本は島9・平地2の22枚ですが、21枚や20枚に圧縮する例もあります(ドローソースを優先的にキャストしていけば回ります)。好みで調節してください。
あまり力を入れて語るところでもないのでサクッと飛ばします。

【基本パーツ:クロック(クリーチャー)編】
クリーチャー基本パーツ 15~16枚
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4 《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
3~4 《修復の天使/Restoration Angel》

クリーチャーはこの4種でほぼ固定です。基本的にはこの4種+《ムーアランドの憑依地》のスピリット・トークンで相手を倒します。
○《秘密を掘り下げる者》:
 これがいないと始まりません。4枚採用です。
○《瞬唱の魔道士》:
 アドバンテージを稼げるクロック。文句なしの4枚採用です。
○《聖トラフトの霊》:
 伝説のクリーチャーを4枚採用するのは通常困ると思いますが、ミラーマッチの対消滅や「死にやすさ」を考慮し、ほとんどのリストが4枚採用しています。クロックとしては随一の優秀さを誇るため、4枚採用です。
○《修復の天使》:
 基本的には構えながら動くデッキなので、瞬速・飛行3/4という能力がデッキにマッチしています。加えてトラフトの死亡回避、瞬唱のCIP使いまわしもできるという万能さが魅力です。カードパワーは申し分ないので4枚採用したいところですが、このデッキに4マナは重いので、手札でのだぶつきを嫌う場合は3枚にする場合もあります。好みです。

【基本パーツ:装備品編】
装備品 2~3枚
2 《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》
0~1 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》
0~1 《ルーン唱えの長槍/Runechanter’s Pike》

装備品は基本的に《戦争と平和の剣》《饗宴と飢餓の剣》《ルーン唱えの長槍》の3択ですが、このデッキ自体が環境を支配している都合上、同型相手に有利な《戦争と平和の剣》が採用されるケースが多いです。
基本枚数は2枚なのですが、相手より早めに展開したい場合、複数枚引きたい場合は3枚に増量されます。クロックと合わせて17~18枚になるように調整するのがよいでしょう。
○《戦争と平和の剣》:
 プロテクション(白)の関係で同型相手に有利がつくため、メインウェポンとして使います。また、最近流行りの《忌むべき者のかがり火/Bonfire of the Damned》に対して耐性がつくことも、採用を後押ししています。
○《饗宴と飢餓の剣》:
 Caw-Bladeよろしく、構えながら動くデッキなので、土地のアンタップ能力がデッキにマッチしています。また、基本的に1対1交換(もしくはテンポアドバンテージ)を取っていくデッキなので、アドバンテージ差をつけられるこの効果は重宝します。問題は、同型相手にブロックされてしまう場面が多い点です。デッキには合うがメタには合わない、という表現が正しいでしょう。
○《ルーン唱えの長槍》:
 剣より1マナ軽いのが一番の魅力です。《トラフト》が持つと相手がチャンプブロックを余儀なくされる(=死ににくくなる)ため、以前は採用されていました。最近は同型対決及び《かがり火》が多い為、《戦争と平和の剣》に軍配が上がっていますが、カードパワーは劣らず高いので、選択肢としては優秀です。

【基本パーツ:スペル編】
スペル 18~20枚
4 《思案/Ponder》
4 《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》
4 《マナ漏出/Mana Leak》
3~4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
0~2 《思考掃き/Thought Scour》
1~2 《はらわた撃ち/Gut Shot》
1~2 《四肢切断/Dismember》

渡辺雄也プロが優勝したとき(~DKA)は《調査》0枚でしたが、ミラーマッチの際の有用性を買われて《調査》を優先的に採用するデッキが増えています。
○《思案》《蒸気の絡みつき》《マナ漏出》
 基本パーツです。語るところは特段ありませんので省略します。
○《ギタクシア派の調査》《思考掃き》
 追加のドローソース(+副次効果)です。合計枚数が4~5枚になるよう調整します。ライフルーズが痛いと感じる場合は《思考掃き》の割合を増やしましょう。
○《はらわた撃ち》《四肢切断》
 ケッシグ系以外のほとんどのデッキに刺さる万能除去です。以前は《はらわた撃ち》が主流でしたが、最近は《修復の天使》を打ち落とせる《四肢切断》が増えています。2・2積みしているデッキリストも多いです。ライフロスが気になりますが、殴られるよりはマシ、という考え方です。合計3~4枚になるように調整します。



基本は上記のパーツを組み合わせて60枚のデッキを作ります。



が、一部のパーツを追加・交換することによって、全く違うデッキに変貌します。これがこのデッキの唯一といってもいい面白いところです。
一例を紹介しますので、参考までにどうぞ。

【土地】
○《魂の洞窟》2枚
 基本土地を1枚+ムーアランドを1枚減らして2枚にするデッキリストが主流です。天使の安定したキャストを助け、また相手の《マナ漏出》の構えを無駄にすることも可能です。最近多いアプローチなので、このカスタマイズを覚えておいて損はないでしょう。頻出です。

【クリーチャー】
○《地下牢の霊》
 対ケッシグ等に優位をとれるクリーチャーとして、天使より優先して採用されることもあります。サイドボードから入れ替えをする方法もあるので、サイドに潜ませておくといいことがあるかもしれません。
○《磁器の軍団兵》
 2ターン目に展開できるクロックとして。ミラーマッチのトラフト・瞬唱を一方的に討ち取れます。
○《幻影の像》
 トラフトの対消滅要因として。苦手な《サリア》も対策できます。瞬唱や天使のCIP使いまわしも可能です。
○《不可視の忍び寄り》
 早期展開のクロックとして。装備品との相性は最高ですが、単体の性能の低さ、全体除去(《鞭打ち炎》など)への耐性のなさが不安です。
○《深夜の出没》
 スペル枠かつクリーチャー枠としてカウントできるおいしいカード。若干重いのが珠に瑕ですが、意外性は十分です。クロック2点増加は意外とバカにできませんし、装備品との相性もよく、チャンプブロックもこなします。ただし、赤白剣には無力なのでご注意を。

【装備品】
○《幽体の飛行/Spectral Flight》
 エンチャントですが装備品の枠としてカウントします。《トラフト》《磁器の軍団兵》との相性は抜群ですし、何より軽いのが魅力です。その代わりプロテクションもつかず再利用も不可能なので、早期決着を好む場合は採用してみても面白いでしょう。
○《殴打頭蓋》
 装備品というかフィニッシャーです。とにかく重いですが、一度場に出てしまった後の制圧力は類を見ません。1枚差しでメインに採用する例もそれなりにあります。サイドボードに採用されることも多いです。

【スペル】
○《材料集め/Amass the Components》
 こちらは一転、長期戦を戦うためのスペルです。基本的にミラーマッチは消耗戦に陥りがちなので、ハンドアドバンテージを手軽に確保できるこのスペルは有用です。問題はその隙の多さと重さです。サイドボードからサイドインする例が多いですが、ミラーが多いならメイン採用もありではないかと思います。
○《神への捧げ物/Divine Offering》
 装備品の跋扈するスタンダードへの回答です。大体1枚差しでメインに投入されます(サイドにとる例のほうが多数です)。同型対決は装備品が勝負を分けるといっても過言ではないため、1回でもキャストできればかなり優位に立つことができます。
○《信仰の盾/Faith’s Shiled》《変異原性の成長/Mutagenic Growth》
 除去回避やコンバットトリックとして有用です。クリーチャーの保護や最後の一押しに役立ちます。最近はその役目を兼任できるクロックの《修復の天使》が出たので採用数は減っていますが、軽い為、早期展開した《秘密を掘り下げる者》を守りやすい点は魅力です。
○《月の賢者タミヨウ/Tamiyo, the Moon Sage》
 重いですが、PWの中では一番の採用率を誇ります(というか、これぐらいしか入りそうなカードがありません)。相手の虫を押さえ込みつつクロックの攻撃を通すことができます。対ケッシグに強いのも魅力です。



まだまだ、発見されていないシークレットテクがあるかもしれません。次のシークレットテクを見つけるのはあなたかもしれませんので、ぜひいろんなカードを試してみてください。



というわけで、青白デルバーの解説でした。プレイングのことは分からないので周りの上手い人に聞いてください。
自分も1月頃のGPT(まだあんまりデルバー自体が流行っていない頃)に《大建築家》入りのデルバーで準優勝をさせてもらっていますが、キープ基準が割とゆるく、いろいろな角度から攻めに転じることができるのが魅力のデッキです。
嫌いな人も、対策をする意味でもぜひ一度まわしてみてください。

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