ちょっとTwitterで話題に出たので、せっかくなのでエントリにまとめてみます。以下全部チラ裏です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

 自分自身、あまりマッチングしたことがないのですが、体感的にはSultai側が若干有利だと思います。少なくとも、相性の悪さを感じることはありません。

 どこに有利な要素があるのか、考察してみました。
 結論としては①テンポ差とサイズ差、②除去の質、③《巻きつき蛇》です。

【前提1:参考にするリスト】
 https://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpmem18/top-8-decklists-2018-02-25
 GPメンフィス(2/24~25)の決勝戦がR/G MonstersとSultai Constrictor(《ハダーナの登臨》型)でした。
 なお、この対決はR/G Monstersが勝利しています。

【前提2:マナカーブ構造】
 2つのデッキのそれぞれのマナ域別構成を確認していきます。
(表記ルール)
・左はR/G、右はSultai。
・X(Y/Z)の表記。X=そのマナ域の合計、Y=クリーチャー数、Z=それ以外(非生物)数。
・《歩行バリスタ》は便宜的に3枚を2マナ、1枚を6マナ換算。
・「永遠」のマナコストも追加して記載する

 1マナ: 2( 0/3) |  5( 0/5)
 2マナ:15(11/4) | 15(15/0)
 3マナ: 9( 7/2) |  7( 4/3)
 4マナ: 4( 4/0) |  6( 4/2)
 5マナ: 4( 7/0) |  2( 3/0)
 6マナ: 7( 7/0) |  1( 1/0)



1.《歩行バリスタ》が強い
 R/Gに採用されているタフネス1を挙げてみると、《地揺すりのケンラ》、《マーフォークの枝渡り》、《翡翠光のレインジャー》、《ピア・ナラー》と《再燃するフェニックス》のトークン……。その実17枚。《チャンドラ》-3能力の返しにも有効だと考えると、強いシチュエーションはもっと増えます。
 特に探検持ちクリーチャーを出す際、《歩行バリスタ》を先置きされていれば、盤面に影響が出る場合は必ず除去される、ということを意味します。
 ではR/Gが《バリスタ》入りのすべてのデッキに不利なのか、というと、そういうわけではありません。大体の場合は、サイズと手数、素早い飛行クロックで押し切ることができます。問題は《巻きつき蛇》のほうにあります。次項以降で解説します。

2.2T《巻きつき蛇》がつらい
 相手が先手で初動が2T《巻きつき蛇》だった場合、返しで《削剥》を当てるしか除去手段はありません。後手の場合もマナを構えて《削剥》を打てなければ(2マナ域生物を優先していると思いますが)3T《削剥》or《捲土//重来》で落とすしかありません。
 なぜそこまで《巻きつき蛇》にこだわるのか。それは次項で解説します。

3.サイズ差と生成スピードがキツい
 2Tの《巻きつき蛇》が生き残ると、マナを構えられなければ3Tに《リシュカー》《翡翠光》(2回探検でどちらも土地以外)でそれぞれ4/5&4/4、2/3&6/5というサイズの生物が誕生してしまう、また3T《ハダーナの登臨》でも蛇が4/5になるなど、基本的に4/5以上のサイズを許容してしまいます。蛇+αのツーアクションでタフネス5を用意できるため、このサイズ差が非常に厄介です。
 いったんタフネス5が生まれてしまうと、《栄光をもたらすもの》《再燃するフェニックス》《チャンドラ》(-3能力)のいずれも圏外で、これを落とす手段はクリーチャーの相打ちor督励+α、ということになります。唯一交換ができるのが《捲土》ですが、これは土地が伸びた後半に限ります。
 つまり、タフネス5を簡単に生み出す要因である《巻きつき蛇》は出てすぐに除去をしなければならない対象、ということになります。加えて、R/Gの場合は《歩行バリスタ》が連続でダメージを飛ばせる状態を維持されると困ってしまうため、余計に放っておけない生物です。 

4.相手の確定除去がつらい
 サイズで上回る《ガルタ》やタフネス5以上に対抗できる《ロナス》が鍵になりそうですが、《ヴラスカの侮辱》への耐性を持っているわけではありません。相手はその場で一番脅威となる(あるいは、厄介な)クリーチャーに除去を選んで打てばいい状況になりやすい、ということです。
 《チャンドラ》で軸をずらそうにも《歩行バリスタ》《ヴラスカの侮辱》というPW対抗策がある以上、これ1枚でマウントを取ることはできません。
 R/G側の除去は不確定or督励との組み合わせで除去になるのに対し、相手の除去はほぼ確定除去。どちらが有利かは言うまでもないでしょう。

5.相手のシナジーがつらい
 個々のカードパワーはR/Gのほうが上です。Grixis EnergyやBig RedといったTier1~2に位置する他のデッキにおいても《フェニックス》《栄光をもたらすもの》が採用されていることからも、それは明らかです。
 しかし、マナカーブ通りにテンポよく展開して並べて勝つ、というR/Gの基本戦略が唯一通じない相手なのがSultai Constrictorというデッキです。
 同じテンポで展開すれば相手のサイズのほうが大きく、除去と組み合わせてマウントを取ろうとしても相手の除去の質が良く返されてしまい、しまいには相手の方がアドバンテージ獲得源が多い(探検シナジーではR/Gに分がありますが、このデッキの《光袖会の収集者》のドロー能力は他のデッキよりもはるかに上回ります)ため、ジリ貧になって負けることの方が多いのです。
 
 
【R/Gで勝つためには】
1.相手のキーだけ叩き、クロックを叩きつけて早々に殴り勝つ
 《巻きつき蛇》さえ機能しなければ普通のアグロデッキです。相打ちを恐れずひたすら殴り、飛行クロックで早々に押しきるのが理想です。赤ケンラを蛇に突っ込ませるぐらいがちょうどいいような気がします(多分ブロックしないのでは)。

2.「永遠」を積極的に墓地に送り込み手数を増やす
 相手は小型の掃討に強いデッキですが、4/4というサイズが複数並ぶと相手にとっては脅威です。マナカーブ通りに展開できれば勝機はあります。当然、相手の《スカラベ》に対処すること、土地を止めないことが大前提です。

3.《ロナス》を生存させる
 《不屈の神ロナス》が生き残れば勝つ可能性が高いです。うまく《ヴラスカの侮辱》を他に当てさせることができれば、更地《ロナス》からの勝ちが狙えます。

4.相手の事故に付け込む
 当たり前ですが、相手が思うように展開できなければそのまま勝ちます。Sultaiは3色、R/Gは2色です。相手の序盤にタップインが多いこともあれば、相手の後半にタップインが頻発することもあります。
 R/G使いなら当然ですが、積極的にサイクリングや砂漠起動を絡め「いかに20点を削りきるか」を念頭に置きながらプレイすれば、勝率は上がります。とにかく「受けから攻めに転じる機会まで耐えること」「一度攻めに転じたら出し惜しみをしないこと」だと思います。



【余談:Sultai Constrictorの他マッチアップ相性について】

 自分の使っている形はハダーナ型ではありませんが、参考までに。

■VS Mono-Red Aggro:微有利
 相手の採用カードによりますが概ね有利です。R/G同様、タフネス5以上への対処手段が限られます。3マナ域に《打ち壊すブロントドン》もしくは《貪る死肉あさり》を採用するとより有利になります。サイドボード後相手が遅めにシフトしても、メインのタフネス1を抜き切れない弱みがあるため五分の戦いができるでしょう。

■VS R/B Aggro:微不利
 サイズを問わずに《無許可の分解》で押し込まれるパターンが発生するのでMono-Redほどの安心感はありません。相手の除去枚数によりますが、確定除去はそれだけでつらいものがあります。後手時は《逆毛ハイドラ》が弱い点も気がかりです。一方で《打ち壊すブロントドン》《スカラベの神》はスタッツ・能力ともに有効なので、採用をおすすめします。

■VS Big Red:五分~微不利
 これも大きいサイズがつくれるかどうかにかかっていますが、序盤から相手の除去が激しい、《焼けつく双陽》を打ってくるなど数少ないスイーパー持ちのデッキということで若干厳しいです。後半は《栄光をもたらすもの》を引かれるかどうか、手順よく処理できるかどうかが勝敗の分かれ目です。

■VS Grixis Midrange or Control:五分
 R/Bと違い《蓄霊稲妻》はほぼ確定除去ですが、《致命的な一押し》の枚数はU/B系より少なく、タップインも多く、全体除去が少ないため、オールインするとそのまま勝てたりします(たまに《焼けつく双陽》を打たれたりしますが)。相手の除去が強力なので、《光袖会の収集者》でカードを引けるかどうかはかなり重要です。サイド後は先手と後手で戦略がまるで異なるので、勝ち筋を意識してサイドボードを構築できているかが肝要です。

■VS U/B Control:微不利
 Grixisと違い相手の除去が若干弱くなりますが、クリーチャーが少なく、こちらの除去が腐るため不利です。《大災厄》が普通に飛んでくるため《ハイドラ》を信頼しきれないのがネックです。とにかく盤面に生物を残すこと、ダメージソースとして《歩行バリスタ》を大切に運用することが求められます。

■VS U/W Approach:不利
 《光袖会の収集者》に触られづらいものの、複数種類のスイーパーがあるため明確に不利です。メインは除去が手札に3枚以上来たらその時点でほぼ負けです。対象を取らない除去が多いため《逆毛ハイドラ》に信頼がおけず、どのタイミングで攻撃を仕掛けるかが難しいデッキです。サイド後の《強迫》《否認》が強いマッチではありますが、《訓練されたカラカル》《奔流の機械巨人》へ対処するため全抜きはできません。

■VS W/B Vampire:有利
 除去が少ない相手は有利です。負け筋はアンセム重ね貼りからの《饗宴への召集》ですが、相手の除去が少ないため間に合わないシーンがたくさんあります。サイド後は《致命的な一押し》が入ってきますが、相手からすると的が多く相打ちに頼ってくるため、相打ちさせずに盤面に生物を残すプレイングが重要です。

■VS Tokens:微有利
 バリスタの餌多数。除去はそこそこ入っていますが、基本的に相手クリーチャーが枯れると後続が出しづらいので、うまくクリーチャー数をコントロールできればマウントが取れます。ライフ回復手段があるため無理に押し込まず、盤面で勝てる状態を目指します。負け筋は《ギデオンの介入》でバリスタを禁止されることなので、依存しすぎないように。サイド後は《燻蒸》など全体除去の枚数が増えるので《ヴラスカ》などPWが強くなります。

■VS G/W Vehicles:(多分)とても有利
 戦ったことがないですが、おそらく相手の除去枚数を見るとメインは茶番です。サイド後は《厳粛》や《不可解な終焉》が入ってきますが、普通に殴るか《打ち壊すブロントドン》が殴りながら牽制する形でどうにかなりそうです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 
 
 周りにSultai使っている人がいないので独りよがりな考察になってしまいましたが、いつかだれかの参考(もしくは反面教師)になれば幸いです。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索