https://www.channelfireball.com/articles/the-evolution-of-white-weenie-for-pro-tour-guilds-of-ravnica/

 プロツアーでChannel Fireballの面々が持ち込んだ白t赤アグロの内容をMartin Juzaが披露しています。イゼット・ドレイクと共に、トップメタのゴルガリを引きずり下ろした張本人ですが、メタ的に今週以降勝てるのか、もしくは対策されてしまうのか、そのあたりも注目ですね。
 長い記事なのでいつにも増して適当です。

 ※追記:サイドボードの記事も追記しました。

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The Evolution of White Weenie for Pro Tour Guilds of Ravnica
By Martin Juza // 12 Nov, 2018


 プロツアー前の水曜日、僕はデッキの内容をほぼ固めていたんだ。長い間、こんな経験はなかったよ。

 何回かMOリーグでデッキを回していて、もう何回も何回も、白ウィニーと対戦している自分に気付いたんだ。せいぜいトータルで50チケぐらいの安いデッキなんだけど(《殺戮の暴君》2枚分、もしくは《再燃するフェニックス》2枚分、あるいは《テフェリー》1.5枚分ぐらいかな?)、低予算デッキの割にはかなり強力で、MO環境でガリガリ回し続けるにはもっとも効率的なデッキだった。何回か連敗したあと、自分で使ってみることにしたんだ。

 僕は早速、GPニュージャージーでTOP32に入ったSimon Nielsenのバージョンから手を付けてみた。

White Winnie

lands
20《平地/Plains》

creatures
3《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
3《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard》
2《追われる証人/Hunted Witness》
4《短角獣の歩哨/Snubhorn Sentry》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
4《善意の騎士/Knight of Grace》
4《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》
4《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon》

spells
4《軍団の上陸/Legion’s Landing》 // 《一番砦、アダント/Adanto, the First Fort》
4《ベナリア史/History of Benalia》
2《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》
2《議事会の裁き/Conclave Tribunal》

sideboard
2《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》
3《不可解な終焉/Baffling End》
2《報奨密偵/Bounty Agent》
2《議事会の裁き/Conclave Tribunal》
2《征服者の誇り/Pride of Conquerors》
4《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》


 確か、覚えている限り、最初のリーグは3-2だったと思う。《敬慕されるロクソドン》が気に入らなかった。非常にパフォーマンスの高い、素晴らしいクリーチャーではあるんだけど、でも自分のクリーチャーにカウンターを乗せる代わりに攻撃を一回飛ばすのはないんじゃないか、と思ったよ。特に後手のときなんか目も当てられないね。クリーチャー戦で後手の時なんか、自軍をフルタップなんてしたら返しの攻撃でボッコボコだ。

 《善意の騎士》のガッカリ感も半端じゃなかった。確かに黒緑と戦う時は頼りになるけど、相手の《野茂み歩き》に何もしないし、相手のサイドボードの《黄金の死》やら《煤の儀式》で簡単に死んじゃうし。

 もっとたくさんの1マナ域が必要だと思った。《不屈の護衛》は《軍司令》を守ってくれる上、《ベナリア史》の支援も受けられる。白ウィニーはいつの時代も全体除去には弱いけど、このデッキは《不屈の護衛》や《アダントの先兵》がいて、粘り強さが段違いだ。《アダントの先兵》は相手のジェスカイ・コントロールが《封じ込め》を持っていなければ、それだけで勝てるカードだね。

 それと、《ベナリアの軍司令》の他にアンセム系の効果が欲しいとも思った。色々探してみたけど、《征服者の誇り》が一番しっくりきたんだ。素晴らしいカードだね。「昇殿」を早めに達成するために1マナ域をもっと増やして、22枚採用することにした。この構成なら、3ターン目に《軍団の上陸》を変身させられるんだ。

 構築の方向性はこんな感じ。

 納得のいっていないカード選択がまだいくつかあったんだけど、11マッチぐらいかな、いろんなデッキと戦って、あっさり勝ってしまって、このデッキが、なんだかものすごくいい、ということははっきりした。

 こんなメモが残っている:

・まだスタンダードがローテーションして間もないから、デッキの細部がバレていない、というのはアドバンテージだ。みんな《絶滅の星》やら《薬術師の眼識》やら《殺戮の暴君》やら《発展+発破》やら、やたら重いカードを使おうとしているからね。

・最も使用率の高いデッキであるイゼット・ドレイクは、このデッキにはとてもいいマッチアップなんだ。大体リーグ1回につき1戦は対戦していたけど、2、3ターン目は何もしないことが往々にしてある(キャントリップを一生懸命唱えているけど、ボードには干渉しない)し、やっと出てきたデカブツは《議事会の裁き》でどこかにいってしまう。サイドボード後は《焦熱の連続砲撃》が入ってくるけど、《護衛》《先兵》あるいは《征服者の誇り》で相手は悪い状況になってしまう。特に《ベナリア史》の第2章誘発後に唱えてくるとしたら最悪だ。そんな誘発に釣られクマー。

・黒緑は、特にサイドボード後はタフなデッキで、何枚かの重いカードを抜いて全体除去を追加してくる。《野茂み歩き》はこのマッチアップで最重要カードだ。《トカートリ》を使うことで機能不全に陥れてくれる。とはいえ青赤系が人気になっているから、メタゲームから黒緑をはじき出してくれることを期待してるよ。このマッチアップは不利だね。

・《アジャニ》はコントロールに対して強いんだけど、コンバットトリックを構えられる状況で4マナのカードをプレイしたくない、っていうのが本音だ。一番いいドローは、土地が2~3枚で止まってクリーチャーの群れを引き込み、《征服者の誇り》でリーサルを狙う、という展開だ。飛行勢力は、少なくとも最初の数ターンの間、相手の探検クリーチャーを無視して攻撃できる。その点では、《銀嘴のグリフィン》は、黒緑相手を見るなら十分プレイアブルだと思うよ。

・コントロール相手は総じて相性がいいと思う。《アダントの先兵》が強いし、相手はプレッシャーをかけて来ないからね。ジェスカイ相手に《クラリオン》2回&《漂着》2回を叩きこまれても、《軍団の上陸》が裏返って戦線を構築し直して勝ったマッチもあるぐらいだ。

・《鎖回し》は正直しんどい。でもプロツアーで赤単が持ち込まれる数はそう多くないと踏んでいる。これも不利なマッチアップだね。

・《征服者の誇り》は各マッチで1枚「だけ」確実に引き込みたいカードだ。デッキには2~3枚がちょうどいいんじゃないかな。「昇殿」するチャンスをできるだけ早く得るために、パーマネントじゃないカードは邪魔なので、2枚引いてしまうのは好ましくない。

・《ベナリア史》と《軍団の上陸》の助けがあれば、3~4ターン目に10枚のパーマネントを並べるのは難しくはない。

・《議事会の裁き》は素晴らしい。1マナ域を寝かせることで簡単にプレイできるからだ。ターボフォグのようなデッキ相手のキーカードにもなる。思うに、《黎明をもたらす者ライラ》あたりのカードに対処できるサイドカードとしての位置付けかな。メインボードではとにかく速やかに殴り勝つだけだ。

・《不屈の護衛》は(「戦場に出るに際し」なので)《トカートリ》がいても機能するよ。

・《ベナリアの軍司令》は白単にする大きな理由だ。クリーチャー戦ミラーマッチでもこいつのおかげで勝てる。

・それでも、クリーチャー構成を正確なものにする必要がある。飛行は必要なのか? 《ハズダーの司法官》あたりを採用して昇殿を早めに達成するようにすべきなのか? 《短角獣の歩哨》は十分いいクリーチャーなのか?


 もう一つのバージョンとして、飛行を多めに採用して、無理に昇殿を狙わないパターンも考えた。

 調整グループには自分の考えを投稿しておいた。デッキはいまだにばれていない状態で、物事が良く進んでいるように見えたんだけど、事件は起こった。MOCSのTOP10デッキのうち、5つが白ウィニーだったんだ。8-0のリストは《英雄的進軍》のために赤をタッチしていた(理論上はいいように思えるし、事実MTGgoldfish上ではそちらのほうが流行っていった)けど、実際に練習してみると、そこまで上手くいかなかった。

 まず第一に、8枚の赤マナを入れているだけでは、4ターン目に赤マナを捻出するのは難しい。9枚目、もっといえば10枚は必要だ。しかし、このデッキには《ベナリアの軍司令》がいる。《山》を入れることはできない。かといって《ボロスのギルド門》なんて入れたら2ターン目に3体のクリーチャーを並べることは難しい。土地カウントを増やすことも考えたけど、20枚の1マナに対して23枚の土地はどう見ても多すぎる。

 色々考えた結果、同種のカードよりも《征服者の誇り》を使う(ことで、相手を速やかに倒す)ほうがいいと思う。適切な量の土地をプレイできるからね。色マナを無理にひねり出してチャンスをうかがう必要はないよ。

 Josh(Utter-Leyton)が合流して、クリーチャーの選択を明確にする議論が始まった。今までの前提が崩れるのに、大体1時間かかったかもしれない。まぁいつものことだね。最初はほんのジョークみたいな話からはじまったんだけど、それがデッキの最大の改善点になったんだ。白黒ライフゲインっていう《アジャニの群れ仲間》を中心に据えたデッキがアリーナで大活躍中だって知ってたかい? スタンダードに転用してもプレイアブルだし、この現在のメタゲームでは有効な手段だと思ったんだ。

 このリストで、僕らはプロツアーに登録しようと思っている。サイドボードはまだ煮詰めなきゃいけないけど、60枚中59枚は地震があるよ。(最後の変更で、2枚目の《議事会の裁き》を入れようと思っている)

 ここではリストを紹介するね。

White Weenie

lands
12《平地/Plains》
4《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》

creatures
4《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
4《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard》
4《レオニンの先兵/Leonin Vanguard》
4《癒し手の鷹/Healer’s Hawk》
4《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
4《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》

spells
4《軍団の上陸/Legion’s Landing》 // 《一番砦、アダント/Adanto, the First Fort》
3《征服者の誇り/Pride of Conquerors》
1《議事会の裁き/Conclave Tribunal》
4《ベナリア史/History of Benalia》

sideboard
4《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
2《不可解な終焉/Baffling End》
3《議事会の裁き/Conclave Tribunal》
3《実験の狂乱/Experimental Frenzy》
2《苦悩火/Banefire》
1《山/Mountain》


 サイドボードから赤を散らす必要性があるのかどうかは、未だに確信を持てないでいるけど、チームとしてはコンセンサスがとれたと思っているよ。もし赤を入れないなら、代わりにサイドボードに《アジャニ》を取るかな。MOリーグ上では赤いカードなしでもコントロールを倒しているけど、白ウィニーが誰にでも認知されたことによって、白ウィニーに対抗できるようデッキを調整していると思う。そうなってくると、《実験の狂乱》プランをとる必要がある。それだけじゃなく、最悪のマッチアップである黒緑とのサイドボード後にも有効なプランだとわかったので、そのこともタッチ赤を後押ししているんだ。

 採用しなかったカードの理由は下記に挙げておくね。

・《追われる証人》:インパクト不足。飛行もなければライフゲインもない。興味をひかれないね。

・《薄暮まといの空渡り》:飛んではいるけど、同様にインパクトに欠ける。《錆色翼の隼》のほうがまだいい。《ゴブリンの鎖回し》や、《焦熱の連続砲撃》のことを考えるとね(《ベナリアの軍司令》がいれば《隼》なら耐えてくれるんだ)。

・《敬慕されたロクソドン》:重すぎる。デッキには一貫性を持たせなければならない。黒緑や赤単に対してはいいサイドボードだと思うけど、どちらのマッチアップでも《トカートリ》を入れるんだよね。

・《悔恨する僧侶》:この2マナ域は《弾けるドレイク》を相手取ったときに「あれ?強いんじゃない?」って思ったんだけど、あいつ追放したカードもカウントするんだよね、忘れてた。こいつじゃだめだわ。

・《戦いの覚悟》:これを採用したバージョンもMOで見たけど、《征服者の誇り》が優先だね。

・《黎明をもたらす者ライラ》:サイドボードに潜んでいるのを見るけど、大体23枚の土地を採用しているデッキにいる、って感じだね。20枚の土地じゃまず出せないよ。

・《残骸の漂着》:攻めるデッキで、後ろ向きなカードをプレイするのは好ましくない。《議事会の裁き》みたいに、攻めで使えるカードでありながら不利な局面を助けてくれる、というカードが良い。このデッキは基本的に攻め続けることが大切なんだ。何度も攻め続けて、あと一押しが欲しい時に引いたのが《漂着》だと、何もしないターンができてしまう。また、青赤や青単に対しても、戦略性の違いからいいサイドボードとは言えないね。

・《報奨密偵》:いくつかのバージョンでは《ライラ》対策として使われているみたいだね。もし《ライラ》がとんでもなく人気で、どのデッキにも2~3枚が入っているようだったら、採用を検討しなくもない。しかし今はサイドボードにおいておくにはインパクト不足過ぎる。そういったマッチでいつでも投入できるとは限らない、という側面もある。そもそもすぐ死ぬクリーチャーにターンを割く必要性は薄い。そもそも赤白天使は《ライラ》を出す前に《ショック》《連続砲撃》《溶岩コイル》あたりでお膳立てできてしまうからね。

・《短角獣の歩哨》《ハズダーの司法官》:条件達成のハードルが少し高いかな。デッキ内の1マナ域はすべて目的を果たしている、この事実が白ウィニーに満足している点なんだ。1マナ域は、マナカーブを低く保つためだけに投入されているわけじゃない。《不屈の護衛》は全体除去の効果を薄くして、《先兵》《鷹》《上陸》は全部《群れ仲間》のサイズアップに貢献するし、《空渡りの野心家》は飛行クロックだ。


 概して、このデッキのポジションに満足している。黒緑だけはいいマッチアップにならないけど、青赤ドレイクが追い出してくれると期待している。赤単も苦手だけど、Tier1になるにはまだ足りないと思う。《狂信的扇動者》を好んで使う気にはならないしね。

 トーナメントで戦うデッキの二大巨頭は青赤と白ウィニーだと思うよ。このデッキはどちらにも有利に戦える。《英雄的援軍》バージョンは相手のほうが一回りサイズが小さいから、一気にゲームを決めようとしてチャンプブロックを強制してくる。このプランは絆魂持ちが多数いる相手には非常に不利で、ライフが25から5になろうと、こちらの返しの攻撃で勝ててしまう。相手は2マナ域ぐらいまでしかクリーチャーを採用していない。ところがこちらの2マナ域である《アジャニの群れ仲間》は素早く育ち、相手に立ちはだかるレンガの壁のようなサイズになる。相手に《議事会の裁き》しか対処手段がなくなってしまうので、マナ的には不利な交換を強いる。相手は《議事会の裁き》を持っておくか、中型クリーチャーを採用するか、ぐらいしか対抗手段がないんだ。

 ライフゲイン手段+《群れ仲間》以外の有利な要素は《征服者の誇り》だ。《英雄的援軍》が4マナソーサリーで、仕掛けるタイミングが分かりやす過ぎるのに対して、《誇り》はインスタントで、ブロック時にも使うことができる。20枚の1マナ域によって相手より少し早く攻められるという自信もある。23枚の土地では、マナフラッドの可能性が高い。

 最後に言っておきたいことは、緑をタッチすることは簡単だけど、デッキは良くならないってこと。《寺院の庭》《陽花弁の木立ち
》《開花+華麗》によって、1枚の《森》を足すだけで簡単に緑をタッチできる。しかし、《開花+華麗》を土地カウントするためには土地を16~18枚にすることができるとして、《開花》を土地としてしか扱うことができない(=《華麗》を唱える機会はない)という問題が発生する。もし手札の土地が1枚+《開花》だったらキープはできるけど、その《開花》が《陽花弁の木立ち》だったとしてもキープできる。1マナを支払って土地を手に入れていると、2ターン目に3枚の1マナ域をプレイして《軍団の上陸》を裏返すのが難しくなってしまう。

 もし僕が白緑をプレイするなら、全く違うデッキになると思う。気に入っているシナジーのひとつに《クロールの銛打ち》と《アジャニ》の組み合わせがある。《ドレイク》《オレリア》《ライラ》といった飛行クリーチャーを複数回撃ち落とせる暴君と化すんだ。《秋の騎士》も素晴らしいサイドボードカードで、《議事会の裁き》や《不可解な終焉》といったエンチャント除去に対する回答になるけど、《トカートリ》との組み合わせはダメだね。《議事会の騎兵》はエキサイティングなカードだと最初は思ったけど、猫も杓子も《溶岩コイル》って環境だからね。反面、《封じ込め》に対しては有効だね。

 僕らは今、《実験の狂乱》はメインに入り得るかどうかを検証している最中なんだ。デッキの展開が遅くなることで本来有利なマッチアップを悪くしてしまうように思う。このカードは何回も《熱烈の神ハゾレト》と比較されているので、正しいか間違っているかはプロツアーの結果が証明してくれると思う。今のところ、サイドボード後に対コントロールの相性を劇的に改善してくれることは嬉しい限りだね。

 プロツアーが終わった直後には、サイドボードについてのちょっとした記事を投稿しようと思っているよ。最終的な75枚はその頃には決まっていると思うからね。GPミルウォーキーまでには間に合うんじゃないかな。

 読んでくれてありがとう、幸運を祈ってくれ!



(後半)

White Weenie Sideboarding Guide
By Martin Juza // 12 Nov, 2018


 白ウィニーデッキガイド、第2部にようこそ! 第1部はこちら(※原文ではリンク)から読んでね。今日はサイドボードについて補足していくよ。

 前回の記事から、僕らのデッキのサイドボードは大きく変わった。緑黒との対戦をたくさん行った結果、僕らは《トカートリ》は《野茂み歩き》に対して信頼し得ないという結論に達し、サイドボードに採用しないことにした。これによって空いたサイドボードのスペースには、同系対策に割くことにして、《不可解な終焉》の追加、そして《正義の模範、オレリア》を入れた。僕らはプロツアー前の夕方から《敬慕されるロクソドン》がミラーで有効だと思って試してみたけど、特に後手の場合はあまりにも登場が遅すぎて、ロクソドンの返しで《英雄的援軍》を絡めたビッグアタックを自由にやらせてしまう、ということが分かった。最終的にはメインボードに《議事会の裁き》をもう1枚加えて、少しでも相手を妨害できるようにしておいた。最終的に僕らがプレイした75枚は次の通り。


White Weenie

lands
12《平地/Plains》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4《断崖の避難所/Clifftop Retreat》

creatures
4《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard》
4《レオニンの先兵/Leonin Vanguard》
4《癒し手の鷹/Healer’s Hawk》
3《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
4《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
4《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》

spells
4《軍団の上陸/Legion’s Landing》 // 《一番砦、アダント/Adanto, the First Fort》
3《征服者の誇り/Pride of Conquerors》
2《議事会の裁き/Conclave Tribunal》
4《ベナリア史/History of Benalia》

sideboard
1《山/Mountain》
4《不可解な終焉/Baffling End》
2《議事会の裁き/Conclave Tribunal》
4《実験の狂乱/Experimental Frenzy》
2《苦悩火/Banefire》
2《正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice》




【サイドボード・ガイド】
■VS白ウィニー
Out
-4《アダントの先兵》
-2《議事会の裁き》
In
+4《不可解な終焉》
+2《正義の模範、オレリア》

 相手が《英雄的援軍》型だと仮定すると、このマッチアップは僕らの型のほうが有利だという自信がある。全体の割合については分からないけど、白ウィニー同系対決だということは変わらないし、対戦相手の引きが良かったとしても、こちらは序盤からライフゲイン手段が豊富なので、往々にして相手の《英雄的援軍》を絡めた初撃に耐えうる程度のライフを獲得している。簡単に大きく育った《アジャニの群れ仲間》に相手が無理やり突っ込んでくるならほぼほぼ《The Abyss》みたいなものだしね。こちらの優位は《征服者の誇り》であり、相手が《英雄的援軍》という隙の大きな4マナソーサリーで行う仕事を、インスタントタイミングで仕掛けられることで、クリーチャーを好きに破壊して、好きに残すことができるんだ。
 《オレリア》はちょっと重いけど、盤面が膠着してロングゲームになった際、その状況を打破できるカードだ。《軍団の上陸》を裏返すことも簡単になる。《不可解な終焉》は大体相手の《ベナリアの軍司令》に当てるけど、テンポのいいプレイを心掛けて、どんどん使っていくことを忘れないように。もし対戦相手が《オレリア》や《ライラ》といった重いカードを使ってくるなら、(おそらく21枚目以降の土地が入っているだろうから)、デッキの中に《議事会の裁き》を何枚か入れておこう。


■VSジェスカイor青黒系コントロール
Out
-2《空渡りの野心家》(先手)/-2《癒し手の鷹》(後手)
-4《ベナリアの軍司令》
-3《征服者の誇り》
In
+4《実験の狂乱》
+2《議事会の裁き》
+2《苦悩火》
+1《山》

 ジェスカイは《アダントの先兵》がかなりきついので、2ターン目にプレイできるかどうかで戦況が大きく変わってくる。《封じ込め》は対抗されうる数少ない手段だ。相手は《轟音のクラリオン》や《残骸の漂着》といった全体除去を大量に持っていまけど、《実験の狂乱》で対抗することができる。相手がこのエンチャントに対抗する手段は《テフェリー》か《神聖の発動》ぐらいしかないからね。裏返った《軍団の上陸》も相手にとっては頭の痛い問題で、最近では《廃墟の地》をプレイされることはほぼないと言っていい。先手の際に《癒し手の鷹》を入れるのは《アジャニの群れ仲間》を《クラリオン》前に4/4まで育てられるためだ。本体か《テフェリー》か、という盤面では、リーサルが見えているなら本体だけど、そうでなければ《テフェリー》を倒すほうがいい。



■VSイゼット・ドレイク
Out
-1《軍団の上陸》
-3《征服者の誇り》
In
+2《不可解な終焉》
+2《議事会の裁き》

 このマッチアップは基本的に、相手が巨大なドレイクで空から殴りかかってくる前に、相手を速やかに倒す、という戦いになる。経験上、早めのキャントリップ連打から1~2回の除去を挟み《弾けるドレイク》が襲ってくる。相手が除去しつづけてくるため《征服者の誇り》は有効に機能しない。《連続砲撃》《ショック》《溶岩コイル》をあまり引かれないよう期待してほしい。対戦相手のデッキに《ゴブリンの電術師》と《奇怪なドレイク》が両方入っていることが判明したなら、1マナ域を2枚減らして《不可解な終焉》をフル投入しよう。


■VS黒緑
Out
-4《レオニンの先兵》
-3《征服者の誇り》
-2《議事会の裁き》
In
+4《不可解な終焉》
+4《実験の狂乱》
+1《山》

 黒緑は不利だ。4枚の《野茂み歩き》に加え、《黄金の死》《煤の儀式》といった複数の全体除去の上、《喪心》のような単体除去も備えている。《征服者の誇り》を生かした横展開は不可能なので、戦い方はジェスカイコントロールと同じような戦い方をして、《実験の狂乱》に対する回答を引かれないことを祈るしかない。相手の展開がもたつき、《アジャニの群れ仲間》を《不屈の護衛》で守りながら育てることもできるが、あんまり期待できない。《トカートリ》と違って《不可解な終焉》は、育ってしまった《野茂み歩き》も問答無用で取り除くことができる。対戦相手が《破滅を囁くもの》のような大型クリーチャーを展開してくるなら、《議事会の裁き》をデッキに残しておこう。

■VS青単
Out
-1《軍団の上陸》
-1《征服者の誇り》
-2《議事会の裁き》
In
+4《不可解な終焉》

 このマッチアップは技術介入度が高い。いつも《マーフォークのペテン師》のことは念頭に置きながら(《アダントの先兵》の破壊不能を消すことができる)、攻撃しないほうがいいこともある。呪文は戦闘前に唱えて、相手の構えが《ペテン師》か打ち消しかを事前に判別するよう強制させることが必要になってくる。このマッチアップの鍵はライフレースを挑み、相手の《執着的探訪》付きクリーチャーへの回答を探しに行かないことだ。相手は《潜水》や《呪文貫き》のためにマナを構える場合、ボードの進行を遅らせてくる。しかしそういった動きを無視してクリーチャーを展開していけば、こちらだけ自由にマナを効果的に使える。サイドボード後は《不可解な終焉》が《大嵐のジン》や《探訪》付クリーチャーへの軽量除去として機能するため喜んでサイドインしよう。一方《議事会の裁き》はたった1マナで打ち消される危険があるので好んで使いたくはない。

■VS赤白天使
Out
-3《空渡りの野心家》
-1《軍団の上陸》
-3《征服者の誇り》
In
+4《実験の狂乱》
+2《議事会の裁き》
+1《山》

 このマッチアップでも《実験の狂乱》が輝く。相手は速度を落とし、《先兵》をサイドアウトし、《連続砲撃》や《ライラ》などを追加してくる。《群れ仲間》でのアグロプランも通常通り効果的だけど、《実験の狂乱》を安全に投入できて、勝つことができる。《議事会の裁き》は《ライラ》《オレリア》《再燃するフェニックス》に当てよう。こちらも《オレリア》を投入したいところだけど、21枚目の土地を加えても、デッキの中に6枚の4マナがあるのは厳しい。《不可解な終焉》は《輝かしい天使》ぐらいにしか効果がないから良くはない。相手の《先兵》や《善意の騎士》のことは気にしなくていい。

■VS白緑
 サイドボードプランを決めるにはデッキのバリエーションが多すぎる。《大集団の行進》+探検クリーチャー、《トカートリ》+《茨の副官》、他にも《カーン》《ビビアン》を使ったPWミッドレンジ型、《輝かしい天使》《ライラ》を使用した天使型、などがある。一般的には《議事会の裁き》が《ライラ》や《野茂み歩き》に対する回答になるんだけど、《秋の騎士》をプレイしてくるならエンチャント除去はすべてサイドアウトすべきかもしれない。《ベナリア史》や《軍団の上陸》を割られるだけなら1:1交換で済むけど、《議事会の裁き》を割られると目も当てられない。普通は、《野茂み歩き》や《トロスターニ》が取られている限りは不利だ(この型が増えてくるなら《トカートリ》をサイドボードに戻すべきだ)けど、速攻からの《征服者の誇り》で一撃で勝ちきるイージーウィンは健在だ。

■VS赤単
Out
-3《空渡りの野心家》
-4《レオニンの先兵》
-3《征服者の誇り》
-1《軍団の上陸》
In
+4《実験の狂乱》
+4《不可解な終焉》
+2《議事会の裁き》
+1《山》

 このマッチアップは最悪だ。《ゴブリンの鎖回し》が本当にどうしようもない。相手が持っていないことを祈って最適にプレイしていくしかない。1回でもプレイされたらまず勝ち目はない。サイドボード後はおそらく《狂乱》同士の戦いになるので、相手の《狂乱》への回答になる《議事会の裁き》を持っているこちらが有利になる。コントロールデッキのように振る舞い、相手のクリーチャーを除去しながら《狂乱》で勝っていく。


 このデッキを気に入ってくれたなら、ぜひコメントでデッキのスクリーンショットを送ってほしいな! GPミルウォーキーでの幸運を祈る!

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